はなこのおすすめ本

はなこの読書日記

本の感想をつらつらと書いています

星間商事株式会社社史編纂室

星間商事株式会社社史編纂室 (ちくま文庫)

 

星間商事株式会社社史編纂室(三浦しをん

 

おすすめ度 ★★★☆☆

 

星間商事株式会社60周年を記念して社史を作ることとなり、社史編纂室が立ち上げられたが、のらりくらりとしている間に社史は完成せぬまま60周年が過ぎ、1年が経ったところから物語が始まる。

社史編纂室は、いわば左遷先のような扱いを受けており、そのような処遇を受けた面々が集まっている。

社史編纂室の一員である川田幸代は、仕事では社史制作に勤しむしがないOLであり、プライベートでは同人誌制作に勤しむオタクな一面を持っている。そんな彼女を主人公とした個性豊かな編纂室のメンバーは社史を完成させることが出来るのか(完成させる気があるのか)が物語の軸となっており、同人誌制作や幸代の恋愛と並行して物語が進んでいく。

 

笑える要素の多い、気軽に読める作品。

 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレあり)

本の出版がどのような順番か定かではないけど、ロマンス小説の七日間や舟を編むを感じさせるような雰囲気や設定を感じられた。

「そうきたか!」というような展開ではないものの、裏切られない楽しさを感じられる。こういうすらすら読めて楽しいドタバタストーリー好きだな。

 

ただ、BLの描写も結構あるので苦手な人は要注意かなと思う。

 

あぁ、紹興酒が飲みたくなってきた。

 

 

 

羊と鋼の森

羊と鋼の森 (文春文庫)

 

羊と鋼の森(宮下奈都)

 

おすすめ度 ★★★★☆

 

北海道の山奥で育った外村(トムラ)は、やりたいことも、やらなければいけないこともなく、時間を持て余す高校生活を送っていた。

ある日教師から頼まれ、学校のピアノを調律しに来た、板鳥(イタドリ)を体育館へ案内することに。そこで板鳥の調律を目の当たりにした外村は、自分の意志で調律師を目指すと決意するのだった。

 

ピアノに触れたこともなかった外村が、調律師として様々なピアノや様々な人に出会い、成長していく物語。

 

音楽をやっている、やっていた人にはもちろんおすすめだが、とても綺麗な文章で丁寧に描かれている作品なので、癒されたい人、穏やかな気持ちになりたい人にもおすすめ。

 

・王様のブランチブックアワード大賞2015

・2016年 本屋大賞

・「キノベス!2016」第1位

・2018年映画化

 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレあり)

 

何となく手に取った「革命前夜」を読んでから、音楽の小説を読むのが好きかもしれないと思い、読み漁っているのだが、やはり好きらしい。音楽の描写をどうやって文字にするのだろうというところに興味があり、読む楽しさを見出している節もあるが。

 

まず、この「羊と鋼の森」っていうタイトルがいいなと思う。このタイトルからピアノの調律師の話だと思う人は少ないだろうが、読み終わった後、このタイトルがすごくしっくりくるのだ。

 

すごく大きな展開があるわけではないのだけど、宮下さんの文章がとても綺麗で落ち着くし、その落ち着いた気持ちのまま最後まで読み切ることが出来た。読み終わったあとに、こんなに癒された気持ちになるのは初めてかもしれない。平和で穏やかで、でも飽きなくて、すごく好きな文章だった。

 

 

 

夜のピクニック

夜のピクニック(新潮文庫)

 

夜のピクニック恩田陸

 

おすすめ度 ★★★☆☆

 

北高には修学旅行の代わりに「歩行祭」という行事がある。「歩行祭」とは「祭」という言葉こそあれ、全校生徒が朝8時から翌朝8時まで僅かな仮眠のみでほぼ歩き通すという、過酷な行事だ。高校3年生にとっては高校生活最後の学校行事であり、「歩行祭」が終われば、「入試」という試練が待ち受けている。

 

高校3年生の甲田貴子はこの「歩行祭」で、ある賭けをしていた。

 

その賭けとは何なのか。彼女と、彼女を取り巻く同級生たちとの長く短い「歩行祭」のストーリーとなっている。

 

第2回 本屋大賞

第26回 吉川英治文学新人賞

 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレあり)

 

学校生活は、思い出せば懐かしく感慨深い人とそうでない人がいると思う。私はそうでない人なので、学校が舞台の話ならばもっとスリリングな出来事や惹きつけられる何かがなければ、読後の充実感や満足感が得られないのかもと思った。

今まで読んだ学校が舞台の小説は、夢中になって読んだものが多かったので、自分でも新たな気づきであった。

 

もちろん、この本を読んで学校生活を思い出し懐かしみほっこりする人もいるだろう。

 

歩行祭」という行事のキャッチーさは、本を手に取るのに惹きつけられた大きな要素だなと思うし、読みやすさは抜群であった。

 

 

 

蜜蜂と遠雷・下

蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫)

 

蜜蜂と遠雷・下(恩田陸

 

おすすめ度 ★★★☆☆

 

蜜蜂と遠雷は長編なので上・下に分かれており、当たり前だが続きが気になって仕方がないところで上巻が終わる。しかし、個人的には下巻を読むのは中々に苦労した。

上巻よりもより詳細に曲や演奏についての描写が描かれているのだが、もうこれがめちゃくちゃに長く感じる。一人の演奏シーンを読み切るごとに、達成感を感じるほどであった。

傑作なのは間違いないが、上巻が良かった分、下巻の展開の遅さ、演奏シーンの描写の多さにぐったりしてしまった。

 

第156回 直木賞受賞

2017年 本屋大賞受賞

2019年 映画化

 

 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレあり)

 

演奏描写の語りの多くを一手に引き受けているマサルが不憫でならない。苦笑

マサルが登場すると、「あ、語りだすな」という予感がしてくるし、案の定語りだすと「はっ、はじまったぞ」と思うほどだ。特に長いなと思ったのが、マサル自身のリストのピアノソナタでの語り。これがもう本当に長い。このピアノソナタを弾き終わったあとに、「観客は長大なドラマを見終わった」みたいな文章があるのだが、首が取れそうなほど大きく頷いた。長大だった、、、長大すぎた、、、。疲れた、、、。

 

逆に、天真爛漫な言動が多く、音楽に関して多く語るシーンがない塵の場面が本当に読みやすくて良かった。塵が出てくると面白くて読むスピードもぐんぐんあがる。

 

最終的に読んでよかったとは思うものの、感想を書こうとするとぐちぐちと不満が出てくるのでこの辺でやめておく。

 

 

 

 

蜜蜂と遠雷・上

蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)

 

蜜蜂と遠雷・上(恩田陸

 

おすすめ度 ★★★★★

 

激しくも美しい音楽家たちの演奏を巧みな文章で綴った重厚な読み応えのある一冊。それぞれの登場人物が様々な立場で、様々な目的をもってコンクールに臨む面白さ、表現者であり挑戦者であるコンクール参加者たちの心理描写など読みどころ満載である。

 

本の内容の素晴らしさもだが、装丁の美しさも素晴らしく、それを理由に手に取っても良いかなと思うほどである。

 

第156回 直木賞受賞

2017年 本屋大賞受賞

2019年 映画化

 

 

 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレあり)

 

忘れていた記憶が蘇った。コンクールの緊張感、ソロを演奏するとき毎度毎度体が震えて音まで震えているんじゃないかと思っていたこと。舞台袖の独特な雰囲気、照明が当たったステージに踏み出していく瞬間、審査員席の雰囲気、審査発表時のどよめきや歓喜、悲鳴、絶望、嘆き。コンクールの1回での演奏のために、何時間も何時間も練習をしていたこと。

 

遥か昔すぎて忘れていた。規模は違えど、私も同じような経験をしていた。懐かしい。

 

心の狭い私は、塵のような天才が実際にいたら絶対に「嫌いだ」と思っているだろうが、物語で読む分には、こういうキャラクターが好きなんだよなあ。本心では憧れているんだろうな。

 

 

 

ドミノ

ドミノ (角川文庫)

 

ドミノ(恩田陸

 

おすすめ度 ★★★★☆

 

東京駅を舞台に様々な登場人物の物語が絡み合っていくドタバタストーリー。読書を通して考えたり、感じたりというよりは、頭をからっぽにして登場人物たちの物語が交差していく楽しさを堪能するような作品だ。

物語が畳み掛けるように展開していく様はまさにドミノのようである。

 

三谷幸喜さんのコメディ映画や、戸田恵梨香さんや松坂桃李さんが出演していた「エイプリルフールズ」なんかが、似たような雰囲気の作品かな。

 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレあり)

 

この本を読む前に同じく恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」を読んでいて、なかなかのページ数で重厚だったので、気分転換にさらっと読めるものがいいなと思い手に取ったが、大正解だった。半日くらいでさらっと読めるし、ウケを狙っているというよりは、その状況にじわじわくるというおもしろさなのも好きだったな。

 

最初の登場人物紹介で人数の多さに気後れしたが、それぞれしっかりキャラ立ちしていて、「あれこれ誰だっけ?」となることなく最後まで読むことができた。特に関東生命の頼もしい(逞しい)女性陣のキャラがすごく良かった。

 

基本的に小説の映像化があまり好きではないのだけど、これは映像化したらおもしろそうだなと思った。